子供のプログラミング学習 ― 日経MJ連載「未来にモテるマーケティング」20/9/7号

2020/9/14

小学生の子供たちとプログラミングを一緒に学ぶ機会があった。
その結果が面白かったので共有したい。

正直いって最初の印象は「これでは子供たちは何も学べずに帰るのではないか」だった。

なぜなら、何を教えるべきか、どう教えるべきか、そしてプログラミングを学ぶことでどんな未来が始まるのか。
こうしたトータルな全体像を、教える側の大人が誰も理解していなかったからだ。

学習カリキュラム自体は、「社会の難問をプログラミングで解決する」というもので、
歴史に残る映画と同じくらいよくできていたが、現場は混乱の極み。
先生やその授業をサポートするチューターの説明はまるで要領を得ない。

チンプンカンプンの会話が続いた揚げ句、チューターが伝えたのは
「ではそれぞれのチームで、自由にやってみてください。わからないことがあれば、質問してね」。

見守っている親たちは、具体的な指示がない状況を見て気が気でない。
しかし、親は親でどう口を出していいのかわからないのだ。

こうしてまともな指示のないなか、最終課題のプレゼンテーションの時間になった。
「これでは良いプレゼンはできないだろうな……」。内心、そんな思いで、私は発表を見ていた。

ところが私の予想は見事に裏切られた。
どのチームも、大人ですらまともにできないような見事なプレゼンテーションを行ったのである。

しかも最もチューターの指示があいまいで、混乱していたはずのチームが、最高のプレゼンを完成させていた。
私が強く感動したのは言うまでもない。

おそらく、このプログラミング講座のような混乱は、
今年度から必修化されたプログラミング教育をおこなう学校現場でも同じことが起こるだろう。

先生が適切に教えてくれると思いきや、先生がまったく理解できておらず、生徒は何を言っているのかわからない。
こんな状況が全国のあちこちで起きるに違いない。

しかし、私はそれでも小学生からのプログラミング教育は大いに実施すべきだ、と考える。
なぜなら、子供たちは機会さえ与えれば、自分たちの力で学びを手に入れるからだ。

今回、私はそれを目の当たりにした。
受講した子供たちは、大人の指示が不明確でも自分たちでその状況を乗り越えた。

先生が頼れなくても、「これはここの画面でこうやればいいんだよ」とお互いに分からないことを教え合い、
少しずつ問題を解決していた。

他の子供たちも、自分たちで状況を切り開くはずだ。

今後は小学校のプログラミング教育だけでなく、学校の外でも教育を受けるほうが望ましい。
プログラミングは言語であり、若いうちから始めたほうが習得しやすいからだ。

8歳で学び始めれば、大学生になった時には10年のベテランだ。
8歳で始めた人と、大学生になって始める人では雲泥の差がつく。

大人は詳しく理解していなくてもいいから、とにかく子供にプログラミングに触れる機会を与える。
これは、今後の世の中を生きる子どもに対して果たすべき、親の重要な務めだろう。

 

 

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