Vol.232 利害関係を解き放つ8つのコツ Prosocial
2020.2.23
原題 Prosocial: Using Evolutionary Science to Build Productive, Equitable, and Collaborative Groups
著者 Paul W.B. Atkins, David Sloan Wilson, Steven C. Hayes, Richard M Ryan
人間は長い歴史の中で、小さなチームで協力して働くことをやってきたので、大組織で働くことは得意ではない。
会社がなくなる時代のチーム・組織のあり方、運営の仕方について、本書のノウハウをぜひおさえておこう。
…by神田昌典
今回の本では、進化的な科学を使って、生産的で公平、かつ協力的なグループを作る8つのポイントが紹介されています。
この本が画期的なのは、2009年ノーベル経済学賞受賞学者の理論をベースに、ビジネスでの方法論を完成させたところ。
森、公園などの公共財、共有資源を研究することによって、
コミュニティが補完的な役割を果たしたときに、最も効果的になることを突き止めました。
なぜこれが今、重要かというと、会社がなくなる時代になり、
社員だけでなく、一般の人を巻き込んで結果を出す必要が出てくるからです。
例えばエボラウイルスのエピソード。
シエラレオネに行ったボランティアが、ウイルスの拡散を防ぐために遺体を処理しようとした時、
現地の人の抵抗にあいました。
現地の習慣をリスペクトしつつ、自分たちの目的を果たすために、
遺体の代わりにバナナの葉っぱを人体に見立てた人形を作り、対応したそうです。
それぞれの利害関係が対立している時、一般的にはうまくいかないもの。
目の前の効率だけを考えるとうまくいかないという、鶏の実験もあります。
卵をたくさん産む鶏を優遇し、他の鶏を隔離したところ、最初はよかったものの、5世代後、一気に生産性が落ちました。
卵をよく産む鶏は攻撃性が強く、他の鶏を殺してしまい、結果として、長期的には大幅に生産性が下がったのです。
低いレベルの競争により全体的な利益が長期的に失われることは、人間社会でもよくあります。
そこで知っておくべきなのが、この本で紹介されているProsocialが機能するための8つの原理原則。
1)自分の利益が最優先にならないために、明確にすべきこと
2)知らないメンバー同士の信頼関係に必要なもの
3)異議が出たときの対応法
4)効果的なミーティングの頻度
5)制裁措置はある方がいいか? ない方がいいか?
6)紛争が起こると得られるものとは?
7)小グループをコントロールするために必要なルール
8)組織されたコミュニティの将来
これら8つの指針があると、何が原因でProsocialが機能しないのかが、よくわかります。
神田さんも、今までやってきたチームビルディングのやり方を整理する上で、非常に役立つ内容だと推しています。
ぜひ、取り入れてみてください。
「実学M.B.A.」のメンバーは、神田昌典による本書の紹介&日本での活用アイデアを、こちらからお聞きいただけます。
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