やり抜く風土こそ、企業の力 究極の人材育成マニュアル「MUJIGRAM」誕生秘話

2019.5.12

 
 

ずっと変わらないように見える、無印良品。
しかし、その中身は、まったく別の会社に生まれ変わっていた。
数字をみれば、それは明らかだ。

今や日本を代表するブランドにまで育った「MUJI」も、2001年には38億円の赤字、
……という危機に直面していた。

それが6年後の2007年には、72億円の最高益。
そのV字回復のプロセスは、学びの宝庫だ。

それまでの経営モデルから舵を切り替え、社員から猛反対を受けながらも発注プロセスを見直し、
また「MUJIGRAM」と呼ばれる業務マニュアルを、会社を挙げてつくり込んだ。

その結果、たった7年で、ここまで会社は変わるのか!と、驚くような企業変革を成し遂げた。

とくに圧巻なのは、やはり血の通った業務マニュアルなのだ。

あなたは、この業務マニュアルをつくるのに、どの程度の時間を計画するだろうか?

もし一斉に手がけるなら、1年以内に行うだろうか?
それともダラダラと進めていては、一向に完了しないから、半年で決着するだろうか?

松井元会長の答えに、私は驚いた。
「3年間で、変わる」と予言していたからだ。

実際、3年間をかけたときに、まったく異なる会社ができあがっていた。
社員のレベルが均質に上がり、また期待されるレベルを達成できるようになっていたのだ。

経営とは、組織づくりであり、その組織づくりのためには、人づくりが必要であるという一貫したプロセスが、
このインタビューによって、手に取るようにわかる。

マーケッターは顧客づくりを行うが、マネジメントは社員づくりを行う。
だからこそ、このインタビューを何回も聞け。

淡々と話す姿に、アメリカの経営学者、J.C.コリンズがいう「第五水準の経営者」*1
―― 最高位の経営者のエネルギーが、あなたにも宿しはじめるに違いない。

—————
*1 『ビジョナリー・カンパニー 2 – 飛躍の法則』(日経BP社/2001)の中で紹介されている経営者の5つの分類法。
その中の最高位「第五水準」の経営者とは「個人としての謙虚さと職業人としての強さという
矛盾した性格の組み合わせによって、偉大さを持続できる企業をつくり上げる」と特徴付けている

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