緊急経済対策で資金援助充実 ― 日経MJ連載「未来にモテるマーケティング」20/4/20号

2020/4/27

ここ2週間で、緊急対策オンライン会議を何度となく行った。

各業界の経営者に的確なアドバイスをするため、多様な専門家と共に、
資金繰りや人事労務の対策をとりまとめ、活用に向けて解説してきた。

4月7日に、政府が108兆円の緊急経済対策を決定した。

「給付金の対象範囲が狭い」「手続きが面倒」などの批判もあるが、
全体的に見れば、政府は非常に良くやっているというのが、会議をおこなった私と専門家たちの見方だ。

リーマン・ショックや東日本大震災の時と比べると、政府の対応は迅速だ。

中小企業や個人事業主に対する持続化給付金や政府系金融機関による無利子融資の陰に隠れがちだが、
注目したいのは、短期間で補助金や助成金が充実してきたことだ。

まず、生産性革命推進事業の補助金が軒並み拡充された。

設備投資を補助する「ものづくり補助金」は、費用の2分の1から3分の2に上限が引き上げられた。
販路開拓などを補助する「持続化補助金」、ITツール導入を支援する「IT導入補助金」も上限が引き上げられた。

またテレワークを始めた中小企業を助成する「時間外労働等改善助成金・テレワークコース」も新設された。
休業手当などを助成する「雇用調整助成金」の助成率も、費用の3分の2から5分の4へと引き上げられた。

これらの補助金・助成金は場当たり的ではない。
未来にふさわしい産業構造への転換を目指すとの政府戦略を加速するものだ。

支援策を短時間でまとめた担当者にお会いしてみたいと思うほど感心した。

未来に向けて成長の可能性が描けるか、やり抜く力があるかが、支援対象には問われる。
「経営が苦しい……」という企業には難しいが、産業構造の転換についていこうとする企業には極めてプラスになる対策だ。

ほぼ全業種の企業が業績に悪影響を受け、経営者は多大なストレス下にある。

しかし、世界は終わりではない。
とくに日本は、他国のような完全ロックダウンに至っていない。

感染爆発の不安はあるが、辛うじてコントロールしている。
東京五輪の中止は当然だが、延期で踏みとどまることができた。

そうした状況で、打ち出の小づちがふられるように、さまざまな資金的援助が得られる環境が整ってきた。
旧来のビジネスモデルから脱却し、来年の五輪開催に向けて、未来のビジネスモデルを構築するための時間も与えられた。

だから不安を抱える暇はない。

自宅待機をしながらも、水面下で必死に頭を働かせ、手を動かす。
そうした経営者・指導者が未来のリーダーとなるだろう。

中国は、すでに動きはじめた。
我々の提携会社とも話していると、オンライン会議の向こう側では、明るい笑顔が戻ってきている。

時差はあるものの、日本も必ず明るさを取り戻す。

だからこの嵐の中でも、未来にモテるビジネスモデルへの転換のために、粛々とやるべきことに取り組んでいこう。
同志の皆さん、ここは踏ん張りどころだ。

 

 

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