社会変革、映画が後押し ― 日経MJ連載「未来にモテるマーケティング」22/2/28号
2022/3/7
先日、面白い発見をした。
2009年に全米で公開され大ヒットした映画『アバター』が続編どころか、第5作まで公開を予定していることだ。
『アバター2』の公開がたびたび延期になっているが、現時点では今年12月に全米で公開予定。
その後、2年おきに続編を公開し、28年の『アバター5』でフィナーレを迎える。
映画の内容はわからないが、『アバター』の連続公開は、
新型コロナによって進展したデジタル社会変革をさらに後押しする、と考えている。
メタバースに代表されるデジタルリアリティーを普及させる起爆剤になるとみられるからだ。
話題のメタバースは、現実空間と異なる3次元のオンライン仮想空間だ。
VR機器を装着することで、自分の分身であるアバターを使って、ゲームの世界に身を投じたり、
ショッピングを楽しめたりできる。
社名を「メタ」に変更したフェイスブックだけでなく、世界の企業がメタバース戦略に舵(かじ)を切っている。
まだ実感がない人が多いかもしれないが、すでにメタバース空間はあちこちで建設されており、導入する企業も増えている。
私の会社でもメタバース空間を実験的に導入した。
毎年、全国24都市を縦断して行ってきた「全国縦断講演ツアー」が新型コロナの影響でできなくなってしまったため、
22年は東京の1カ所だけで開催。
その際、日本のスタートアップであるクラスター社のメタバース空間を活用したのだ。
参加者の皆さんにメタバース空間に集っていただき記念撮影までした。
今回はそこまでにとどまったが、技術的には販売ブースで商品を手に取って買い物をすることもできるという。
クラスター社は25年の大阪・関西万博に向けて「バーチャル大阪」というメタバース空間を構築している。
昨年12月、太陽の塔が見られる空間をオープンしたほか、M-1グランプリの実況イベントも行った。
3年後にはメタバース空間から日本の取り組みを世界に発信することになるだろう。
メタバース空間がどんどん現実化すれば、全世界の人たちが何の違和感もなく同じ空間に集えるようになる。
一人ひとりがリアルな人間としてだけでなく、
アバターを使うようになれば、老若男女が気がねなく集えるようになるだろう。
メタバース空間でショッピングをすることもそう遠からず実現するはずだ。
例えば誰もが自分のアバターを使って、ディズニーのメタバース空間で買い物をすることが十分に考えられるだろう。
さらには、単に現実の世界をデジタルにシフトするだけでなく、
現実空間とメタバース空間が融合したデジタルツインの社会をつくる流れに入った、と私は見ている。
デジタルツインの社会は子供にとっては喜びと希望の世界だが、大人から見ると不安を持つ人もいるだろう。
しかし、今回私もメタバース空間に触れることで、夢のある世界に生きていることを実感できた。
試しにメタバース空間に触れてみてほしい。
子供心を取り戻しポジティブな可能性を見いだせるはずだ。
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