生成AIとの共創 中小に光 ― 日経MJ連載「未来にモテるマーケティング」23/6/5号

2023/6/12

新規事業開発をしたい中小企業が集まり、
ChatGPT(チャットGPT)でコンセプトを考える実験をおこなった。

結果、2週間で獲得できる市場規模を大きく変える現実味もあるコンセプトが生まれた。

一例が電気工事業者のスマートグリッド事業への新規参入だ。
市場規模が100兆円を超えるといわれ、あらゆる大企業が参入している。

中小企業では太刀打ちできないと思われた。
しかし、自社の「強み」を見出した後、人工知能(AI)に尋ねた。

「スマートグリッド分野で新規事業を企画したい。
当社の『○○』という強みを使うとできる実現性あるプランを」

すると、言語化できなかったことが言葉になり始めた。

ビジネスモデル、ネーミング、ランディングページの設計へと進むと、
思いもよらなかった成長事業のコンセプトが形になった。

このプロセスでわかったことがある。
率直にいって、専門知識や情報だけを売りにしてきたコンサルタントは不要だ。

たとえば、私はスマートグリッド事業のことなど何も知らない。
にもかかわらず、次のようなプロンプトをチャットGPTに入れるとどうなるか。

「○○を本業にしていた会社が、△△分野で新規事業を企画します。対象となる顧客は?」
「その顧客には、どんな満たされていないニーズはありますか?」
「それに対して当社は○○を強みとしていますが、どんな価値を顧客に提供できますか?」
「では、その価値を提供する新規事業の概要をまとめてください」

一気に、専門知識に基づいた回答が出てくる。

我々は目標達成のための思考プロセスを理解し、AIのアウトプットが正しいか確認し、
独自の見解を加えて判断すれば良い。

創造的なビジネス戦略をスピーディーに構築できるのである。

今までは新規事業をするには時間がかかるし失敗するというのが常識だったが、
AI活用によって塗り替えられ始めている。

問題はチャットGPTで生み出した事業アイデアをどう形にするかだ。
鍵は事業アイデアを生み出す最初の過程から異業種を積極的に巻き込むことである。

例えばスマートグリッド事業に参入するなら、電気工事会社だけでは足りない。

システム開発企業、行政や病院とのチャンネルをもった医療サービス関連企業などがダイアログすると、
必要なリソースを一気に集められる。

単体だと「面白いけど誰がやるんだ」と絵に描いた餅に終わることが大半だが、
異業種が集まると「その分野なら私ができるよね」といって、コラボが成り立つのである。

もちろん異業種のコラボにはリスクもある。
一番大きいのは文化や意思決定プロセスの違いで摩擦が生じる可能性が高いことだ。

解決する方法が新たなビジネスプラットフォームを構築し、
オープンイノベーションの手法を積極的に活用することだ。

異業種との共同プロジェクトやコンテストを開催し、アイデアの集積や協業を促進する。

こうしたプラットフォームはいくつもある。
AIとの共創により爆発的に「未来にモテる企業」が増える希望が芽生えてきた。

 
 

実学M.B.A.
いまなら初月無料でお試しいただけます。
詳しくはこちら



MAIL MAGAZINE・SNS
メルマガ・ソーシャルメディア


メルマガ一覧を見る