中小こそデジタル革命を ― 日経MJ連載「未来にモテるマーケティング」19/2/18号

2019/2/26

昨年末、私は自分のスマートフォン(スマホ)を、
米アップルのiPhoneから、米グーグルのPixel(ピクセル)に変えた。

会社の働き方改革を推進するには、トップ自ら、従来と違う方法を試さなければならない、と感じたからだ。

結果、分かったのは、通常業務の大半は、グーグルの提供する無料アプリでカバーできるということだ。
アプリとPixelで、私の業務環境はドラスチックな変化を遂げた。

例えば、タクシーの中からのオンライン会議への参加は日常だ。
会議内容は、音声認識を使いテキスト化できる。
クラウド上で共有し、関係者全員と共同編集できる。

また、講演会のときには、QRコードを使い、スマホ経由でアンケートを取得。
それを即時に集計・グラフ化し、参加者や社内に必要な情報を共有している。

マーケティングに活用できる機能も豊富だ。

情報提供のためのメールアドレスを集める「オプトインサイト」、新規顧客を迎える「ウェルカムページ」は、
プレゼンソフトをいじれる程度の知識があれば誰でもつくれる。

「グーグルマイビジネス」というサイトスペースに自社情報を記載すれば、簡易的なホームページが出来上がる。

商品内容をわかりやすく説明するには動画が必須だが、
その動画をアップするプラットフォームとしてはユーチューブがあり、グーグルの他のサービスとスムーズに連携できる。

こうした無料サービスでも十分だが、
これらのサービスがパッケージになった有料の「G suite(ジースイート)」を使えば、
管理者機能が充実した法人向けサービスが利用できる。

有料といっても、月600円から使えるので実にリーズナブルだ。

「無料や格安で使えるサービスなんて大したことない」。
そう思い込む人は少なくない。

確かに、個々の無料アプリは機能が足りない面もあるが、複数のアプリを組み合わせたときのスムーズさは見事。
コンマ何秒の時短にこだわる姿には、グーグルの飽くなき執念を感じる。

中小ベンチャーにとっては働き方改革の強い味方。
使わない手はない。

大企業は既存の情報システムがあり外部サービスを気軽に導入できないが、
中小ベンチャーなら、トップが目の前にある技術を理解し、導入の掛け声をかければ、一気にデジタル変革が進む。

社員の生産性向上にとどまらず、育児や介護などの理由によりフルタイムで働けない人や、
今後、急増する副業人材の活用も加速できるだろう。

アメリカでは、フォーチュン500の企業の半数がデジタル変革への遅れで、消えたといわれる。
かつて優良企業と言われた日本企業も、デジタル技術の進展についていけなければ、消えてしまう危険性もある。

もっとも、消滅の危険を回避するのに、膨大な投資など不要だ。
大切なのは、経営者が率先してツールを使うこと。

そうすれば、ツールの可能性に気づき、自社の新たなる可能性を見いだせる。
頭の中の古い配線をつなぎ直すには、指を動かしてツールを使うことが、最も簡単で唯一の方法だと実感している。

 

 

実学M.B.A.
いまなら初月500円でお試しいただけます。
詳しくはこちら



MAIL MAGAZINE・SNS
メルマガ・ソーシャルメディア


メルマガ一覧を見る