前書き公開[3] 「買収起業」完全マニュアル ベンチャー立上げリスクを回避する「新・起業法」
2021/6/10
● 本書ノウハウで、私自身も、M&Aを実践してみた
だからこそ、専門外であるマーケッターの私が、この本を読んだとたんに、目からウロコがとれた。
そして早速…、実践してみた。
私は、企業研修をメイン事業とする会社を20年間にわたり経営しているが、
本書ノウハウに従って、買収候補先の物色をはじめたのだ。
すると、半年ほどたったところで、知り合いのM&Aアドバイザーの方から、候補企業が紹介された。
オーナーが年齢的に経営者を退任したいので、会社を売却できる先を探しているというのだ。
その際、提示された買収金額や条件を検討・判断するうえでも、非常に役立ったのは、本書だった。
コロナによる環境激変の結果、実行にはいたらなかったものの、このノウハウの正しさを、身をもって体験した。
買収起業は、日本ではあまり成功事例がないように思えたが、探してみると、そんなことはない。
著名なところでは、メガネチェーン「オンデーズ」を倒産寸前で、田中修治社長が70%の株を買取り、再生。
その後、世界12カ国、300店舗以上へと急成長させた例がある。
また知り合いの経営コンサルタントは、2年ほど前に、年商20億円ほどの販売業の社長に抜擢されたあと、
同業他社の買収を積極的に行い、ほんの数年で200億円事業へと成長させた。
今、起業といえば、多額の資本を第三者から調達し、
デジタル技術を強みとする「リッチ」派のベンチャーが注目を集めるが、
内情は、資金は集まったものの、事業としては成長の壁にぶつかっている会社も少なくない。
また今後、成長をけん引する海外市場においては、
米国・中国発のプラットフォーマーに押され、活路を見出しづらいのが実情だ。
そうした中、この「買収起業」という名の継承型ベンチャーは、
日本が得意とする「ものづくり」や「ホスピタリティ」の分野に、よりマッチするのではないか。
IoTやAIといったデジタル技術を持ち込むことで、再成長戦略が描きやすくなるし、
またグローバル市場においても、リアル技術に強いという日本ブランドがじゅうぶんに活かせるからだ。
● 「買収起業」を推進する野心家が、これからの日本には多数必要だ。
「買収起業」という継承型の起業が一般化すれば、
今、日本が直面する廃業リスクは、またとない「再成長チャンス」に変わる。
だから、私は本書の、1日も早い刊行を、待ち望んできた。
本書をきっかけに、日本企業の優れた技術や人的資産を継承しながら、
業界再編という大役を担う、野心的な経営者・起業家が多数現れてくることを、心から期待したい。
最後に、このノウハウを実践していくためには、
実際に日本国内での買収起業家支援・事業承継M&A支援の実践の知恵が必要であるため、
本書出版を後押ししてくれたヒューレックス株式会社・事業承継推進機構株式会社の松橋社長に、
監修あとがきをお願いした。
ヒューレックス社は、地域金融機関170行と提携しながら、
日本全国の“地方”における雇用創出、そして活性化の実現を目指す企業グループである。
巻末の監修あとがきを読み合せることで、米国発のノウハウ書を、
どのように日本でも活用できるかについて、ご理解を深めていただきたい。
それでは、経営者・起業家としての活躍フィールドを大きく広げる「買収起業」を、
その開拓者である著者ウォーカー・デイベル氏に、ご案内いただくことにしよう。