マルケト「THE MARKETING NATION SUMMIT 2018」基調講演
2018/11/16
未来を担う子どもたちに、希望に満ちた世界を—
それこそが、恐れることなく挑戦し続けるマーケッターの使命だ!
マルケト「THE MARKETING NATION SUMMIT 2018」基調講演
「AIが発展すると人間の仕事がなくなってしまうのに、なぜ、人間はAIをつくるのですか?」
これは、小学4年生の男の子から発せられた、神田昌典への質問。
「未来を担う子どもたちが、その未来に対してFear(恐れ)を抱いているーー。
この事実は、危機感をもって受け止めなければならない問題です。
小さな男の子からの質問を受け、そんな子どもたちのFearを取り除き、希望に満ちた未来を提示することこそ、マーケッターの仕事だと、私は痛感したのですーー」
11月3日、東京・虎ノ門ヒルズにて、MA(マーケティング・オートメーション)の最大手マルケト社が主催するカンファレンス「THE MARKETING NATION SUMMIT」が、今年も開催されました。
昨年に続き、今回も講師として招かれた神田昌典は、基調講演で熱弁をふるいました。
「THE MARKETING NATION SUMMIT 2018 」のテーマは、「THE FEARLESS MARKETER ~マーケターが創る、ビジネス成功のための新機軸」。
Fearは、恐れ。Fearlessは、恐れを知らない、大胆不敵、の意。
すなわち、Fearless Marketer(フィアレス・マーケッター)とは、「恐れず挑戦するマーケッター」を意味します。
この日の講演で神田が例として挙げた冒頭の男の子の言葉は、神田が発起人となって開催している読書会、「Read For Action」で起こったひとコマ。
「AI」というテーマで行われた読書会に参加していた、小学4年生の男の子からもたらされた質問に、神田は「子どもたちのために、どんな未来を実現するか。それこそが、マーケッターの担う仕事だと痛切に感じた」といいます。
世界が日々、目まぐるしく変わる、マーケティング・ビッグバン。いわば新文明開化の時代を、われわれは生きています。
だからこそ引き起こされる、人々のFear。――その要因は、デジタル化の大波にあります。
けれども、文明開化がもたらすものが、不幸であるはずはありません。むしろ、新たな幸福に違いないのです。
その幸福をいち早く手にできるのは、恐れずに先の一歩を踏み出す者。それがまさに、Fearless Marketer。マーケッターの神髄ここにあり、というわけです。
デジタル化の大波を乗り切るために、Fearless Marketerがまずはじめに着手すべきことは、「優れたデジタル・ツールの導入である」と、神田は明言します。
新たなツールの導入の前に、戦略を再検討しようとする企業は少なくないでしょう。しかしそれを始めると、堂々巡りになり、結局、頓挫するケースが多いのです。そうしてツールの導入が遅れれば、すべてが後手後手に回り、気が付いたときには競争から取り残されていた……ということにもなりかねません。
むしろ、躊躇することなく先端的なツールを導入し、それを起点に新しい戦略、戦術を考えるのが得策です。ツールを使うことをきっかけに、新たな仕事、新たな働き方が生まれていく――。こちらのほうが、はるかに建設的です。
AIもツールのひとつ。
先の、小学4年生の質問に対する答えは、明らかです。
AIは人間の敵ではありません。人間を支援するツールです。
AIの支援を受けて、人間は、本来生まれ持った才能を伸び伸びと開花させることができるようになるはずです。そのために人間は、AIを開発しているのです。
ただ注意点としてひとつ、神田が付け加えたのは、集合知性の重要性。
ひとりで学べること、ひとりでできることには限りがあり、AIによって簡単にコモディティ化されてしまう。だからこれからは、難問を創造的に解決するチームの育成が、大きなカギを握ります。
常に恐れず、大胆な提言をしてきた神田もまた、Fearless Marketerのひとり。
昨年の「THE MARKETING NATION SUMMIT 2017 」で、神田は、「CMOに女性を起用することを突破口に、未来に似合う企業文化を構築せよ」と述べました。
そして今年、マルケトには、サラ・ケネディ氏という女性CMOが誕生し、まさに今、目覚ましい業績を上げ続けています。
さらに「THE MARKETING NATION SUMMIT 2018 」のこの日、マルケト活用によりビジネス課題を解決したFearless Marketerであるとして、アワード「MARKETO CHAMPION」を受賞した7人のうち、半数以上の4人が女性でした。
今回の「THE MARKETING NATION SUMMIT 2018 」で神田が提唱したのは、3つ。
1つ目は「トップの言葉の中に、未来への種を探せ」。
今、自らが働く会社のトップが、どのようなビジョンを持っているのか? 子どもたちのfearをかき立てているのか、それとも無くそうとしているのーー。それを見極め、未来に花を咲かせるような種を見つけなければいけない。
2つ目は「組織の垣根を越えるために、Teacher(教育者)とSkeptic(懐疑者)の2人が手を組め」。
この日集まった参加者の多くはおそらくTeacher。だから、社内で “懐疑者” を見つけ味方につけること。相反する思考の両者が協力し合うことによって変革が訪れる。
そして3つ目は、「マーケッター主導で誇れる仕事をつくれ」。
マーケッターの仕事は、常に先を見据えて、さらに次へと進んで行くこと。そのマーケッターが主導になることで、未来に誇れる仕事が現実化する。
AI導入に尻込みしている場合ではありません。
「Googleアナリティクスやfreee、マルケトの導入だってチョロイです。我々が何をやらなければいけないのかというと、それは極めて単純なこと。あとから振り返れば、こんな簡単なことだったのかと思うような技術です。これに対して学ぶことをを怠るな!」
講演の締めくくりには、神田からの熱のこもったメッセージが会場に響き、マーケッターたちの表情が一様に引き締まったように感じられました。