女性活躍、成果上げるには ― 日経MJ連載「未来にモテるマーケティング」21/7/11号

2021/7/18

面白い統計がある。

2011年の米国での研究調査によると、女性管理職が多い企業は毎年パフォーマンスが平均1%向上し、
年4200万ドル以上の追加収益が生まれるそうだ。

しかし、日本は管理職の女性比率が低い。

18年の国際労働機関の調査によると、世界の企業などで管理職に占める女性の割合は27%。
しかし日本は12%とG7で最下位だった。

どうすれば、女性がもっと活用されるのか。
私が突破口と考えるのは「リモートワーク」と「マーケティング」だ。

女性の役員や管理職が少ない理由の1つは、育児や介護によってキャリアが中断しやすいことだ。
もちろん、男性が休暇を取り主導的に育児や介護をする場合はある。

だが、厚生労働省の19年の調査では、子供が生まれて育児休業を取得した割合は女性が83%なのに対し、
男性は7.5%に過ぎず、依然として女性が育児を担う現実がある。

育児休暇から戻った時に、今までのキャリアがリセットされることは多い。
能力を発揮でき、付加価値を生み出せる仕事が自宅でできれば、キャリア上のボトルネックは解消されるだろう。

では、一般的に女性がその特質を生かせる職種とは何だろうか。

ヒントになるのが、ジュディ・ロビネット氏が著した『How to Be a Power Connector』。
本書は「男性は縦の組織をつくるのに対して、女性は会社や部署を超えた横軸のネットワークをつくる」
傾向があると指摘する。

こうした特質を生かせる仕事として最適なのが、デジタルマーケティングだ。

リード・ジェネレーション(見込み顧客を獲得する活動)や
カスタマーサクセス(顧客との継続的関係を構築する活動)などのデジタルマーケティングのプロセスは、
部署同士が横連携してデータを統合的に集めないと機能しない。

デジタル時代のマーケッターは女性的な特質を持った人のほうが活躍できるのである。

実際に海外のマーケティングイベントに行くと、参加者の半数以上を女性が占めている。

一方、日本で女性はわずか。
私は女性社員をCMO(チーフ・マーケティング・オフィサー)に抜てきするのが最も効果的だと考えている。

ただ、日本企業は現状維持バイアスが非常に強いので、女性社員が変革を起こそうとすると非難され、孤立しやすい。

回避するなら、女性が同志をつくれるようサポートすることが重要だ。
会社を超えて、各社の女性役員候補が連携できるようにするのも一手だ。

女性CMOがリモートで成果を上げれば、
CLO(チーフ・ラーニング・オフィサー)やCPO(チーフ・ピープル・オフィサー)などでも
女性が登用される道筋ができ始めるだろう。

チャンスを逃してはいけない。

ちなみに、私の会社も女性を最高執行責任者(COO)に就けたら、財務成績が目に見えてよくなった。
会計士には「数年前と比べて、同じ社長の会社の決算書とはとても思えません」と言われて、苦笑している。

 

 

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