対話AI、販促に革新 ― 日経MJ連載「未来にモテるマーケティング」23/2/13号
2023/2/20
「仕事がなくなる!」。
話題の対話人工知能(AI)「Chat(チャット)GPT」を、私の仕事で活用したときに受けた第一印象だ。
チャットGPTとは米オープンAIが開発したAIモデル。
質問を入力すると、その回答の文章を自動的に生成する。
試しに「神田昌典氏が執筆する『未来にモテるマーケティング』というコラム記事を、
より多くの読者に届けるための説明文を140字以内で書いてください」と入力した。
出てきたのが、次の文面だ。
「『未来にモテるマーケティング』は神田昌典氏による革新的マーケティングコラム。
最新戦略から数字ベースのアプローチ、顧客中心のブランド強化までを紹介。
マーケティングに関心のあるビジネスリーダーやマーケッターにとって、必読の貴重な情報源」。
人間が書いたのと何ら変わりない出来栄えだ。
クリエイティブな分野において、人間の仕事はAIにとって代わりづらいと考えられてきたが、
それを覆すかもしれない。
創造的な分野で活用できるAIを「生成系AI」というが、これが爆発的に広がるとみられているのが2023年だ。
グーグルが登場した時以来の衝撃的な変革をもたらすのではないだろうか。
マーケティングへの応用の可能性はというと、マーケッターの仕事が一変するといってもいい。
今まで膨大な時間をかけて考案してきたマーケティング・コンセプトやメッセージなどを瞬時に生成できるからだ。
とくにセールスメッセージは考案するのが難しく、苦手な人が多いが、
チャットGPTを使えば複数のメッセージを考案してくれる上、対象ごとにパーソナライズされたメッセージを作れる。
自動的に配信もでき、お客様のエンゲージメントを強化できる。
膨大なウェブサイトの情報やソーシャルメディアの投稿文も生成でき、コンテンツマーケティングに役立てられる。
さらに、購買履歴などの自社のデータベースとつなげれば、データ分析に基づいた広告投入先を決定し、
広告パフォーマンスを最適化できるだろう。
カスタマージャーニーまで作れれば、マーケティング戦略を全体的に改善できる可能性があるわけだ。
チャットGPTは現時点ではまだ完璧ではない。しばしば根拠のないことを言う。
先述した私の話だが、ブランド強化はそこまで強くないのに、自信満々に「強い」と言い切っている。
市場調査に使ったこともあるが、市場規模から全く合っていないこともあった。
ただ、まだベータ版なので、これからどんどん賢くなるだろう。
人間を超えるには現実味がある話だ。多くの仕事がAIに置き換えられる可能性が出てきた。
そんな時代にはどう立ち向かうべきか。
私は、人間とAI、どちらが優秀かではなくて、AIを使い倒したほうが賢いと思う。
そうすれば、私たちは物事を洞察しゼロイチの発想をするという、人間に残された機能に、
より時間を集中投下できるようになるからだ。
生成的AIが生まれたことで、私たち人間はより生成的な存在への進化が加速できることになる。
実学M.B.A.
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