大阪万博、各地の中小企業に提案 ― 日経MJ連載「未来にモテるマーケティング」19/1/21号
2019/1/28
2025年に大阪への誘致が決まった国際博覧会(万博)について提案したい。
昨年11月23日、55年ぶりの開催が決まった大阪万博は、大阪・関西という地域のみならず、
日本全国の成熟期にある中小企業にとっても、
各地域の伝統的な強みを最新技術と組み合わせて、未来を構想していく絶好のチャンスだ。
そこで私が提案したいのは、独自の強みと新技術を生かして地域の社会問題に挑む中小企業が、
構想や戦略を展示できるブースを設けることだ。
小規模なブースだとしても「2025年問題」といわれる超高齢化社会を解決するのに不可欠な、
日本ならではの成長事業を数多く生み出す起爆剤になるだろう。
ブースへの出展には2つの条件がある。
1つは、地域の社会問題の解決に挑戦している技術ベンチャーであること。
もう1つは、その地域ならではの強みや伝統を生かした提案ができていることだ。
そうしたえりすぐりのベンチャーを全国から募り、大阪・夢洲の万博会場に集める。
ネットの良さを生かして、会場だけでなくそれぞれの地域での「地域万博」も同時開催し、ネットでつなぐ。
大阪万博は高校野球でいうと甲子園みたいなものだ。
重要なのは、単にベンチャーを集めることではない。
現在も各地でビジネスアイデアコンテストが開催されており、アイデアへの助成金も出ている。
しかし、それらの取り組みは既に形になったタネを土壌に植える活動。
むしろ、タネ自体をゼロから創りあげることがより重要になる。
赤ん坊を小学生に育てるのと同様の時間と労力がかかるが、大阪万博まで6年ある。
まだ間に合う。
具体的には、大学を新規事業を生み出す拠点にする。
地域の中小優良企業にとっては、産学連携のプロジェクトを始める機会になるし、
学生にとっても企業と組んで万博に出展するベンチャーを創出する活動は魅力的だろう。
そしてベンチャーのタネを苗や幹に育てるにはやはり資金が必要だ。
調達には「ふるさと共育ファンド」を創設してはどうか。
各地域の有力企業が出資してファンドをつくり、ベンチャーのアイデアに対して出資・応援する仕組みをつくるのだ。
万博が開催される6年後までに、全国に1000社のベンチャーを作ることを目標にしてはどうか。
多いようにみえるが、各都道府県から30~50社ずつ育成できれば、実現不可能な目標ではないだろう。
ここ8年、全国行脚の講演活動を続けている。
今年も3月までに全国21カ所をまわるが、各地の参加者にとっても取り組みがいのあるプランだと考えている。
20年間中小・ベンチャー企業のマーケティング・コンサルタントをしてきた経験からも自信を持ってそう言える。
「構想は良いかもしれないが、誰が全体を企画・運営するのか」というなら、私に任せてもらえないだろうか?
万博という絶好の機会を生かすため、万博の担当者はぜひ知恵を絞ってもらいたい。