YouTubeの本質とは ― 日経MJ連載「未来にモテるマーケティング」20/7/12号

2020/7/19

できれば出たくない。顔出ししたくない。
と逃げまわり続けたが結局、私もYouTuber(ユーチューバー)デビューした。

私なりに時流をふまえ、仕事に役立つキャッチフレーズを毎日、配信している。

なぜ今さら、YouTubeなのか?

それは、他のメディアにはないYouTubeの本質に関わる。
その本質とは「遠くに届けられるSNS」だ。

従来のSNSは学生名簿からスタートしたフェイスブックに代表されるように、身近な人たちに情報を届けるものだ。
とくにフェイスブックはアカウントが原則実名で、身近で好意的なお客に情報を届けるには有効だ。

だが、さらにお客を増やそうと、遠い存在の人たちに情報を届けようとすると、広告費は急速に高くなる。
だから大勢の集客には不向きだった。

それに対しYouTubeは、遠い存在の人にも情報を届けられるメディアだ。

視聴者が自分で選んだ動画を見終わると、自動的に別の人の関連動画が始まる仕組みがあるからだ。

メディア側が、視聴者が興味を持ちそうなものを勝手にレコメンドするのだが、
これによりあなたをまったく知らない遠いお客にも、あなたが発信する情報を広げられる。

認知度獲得まで多少時間はかかるが、企画力次第で認知度を上げられるし、広がり始めると遠くのお客にも広がる。

フェイスブックが高い成約率を獲得するためのメディアだとしたら、
YouTubeは認知度を上げるためのメディアといえるだろう。

同じような特徴を持つメディアはテレビだが、非常に広告費がかかる。

だがYouTubeは動画配信により、大手スポンサーから広告収入という「出演料」をもらいながら認知度をあげられる点が、
決定的に異なる。

デメリットは、遠い客なのでひどい批判もあるし、時には炎上もあること。

だがメリットとデメリットを理解すると、あたかもゴルフの達人のように、ドライバーとパターを組み合わせ、
ビジネスのターゲットを確実に攻略できるようになる。

こういうと「よくわからないから、うちはいいや……」という社長がいるが、のんびり構えていると、挽回できなくなる。

YouTubeは視聴者をある程度獲得したチャンネル同士がレコメンデーションし合うので、
そのカテゴリーでの人気チャンネルがダントツになっていく。

要は、あなたのビジネスの分野でダントツ人気のビジネスYouTuberが生まれると、
その他の会社がYouTubeを後追いでやっても、見てもらえなくなってしまうのだ。

中学生になりたい職業のランキング3位以内にYouTuberが入ったことに驚いた大人が多かったが、
それほどまでにYouTubeの存在感が高まっているのは事実。

会社に人気YouTuberがいないと、現実世界でもその分野でトップになれない、という状況は近づいている。

そう考えるとこれからは、すべての会社がYouTuberを育てなければならない時代に入ったのではないだろうか。
その適任者は、社長であるあなたかもしれない。

 

 

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