小学生 探究学習の可能性 ― 日経MJ連載「未来にモテるマーケティング」22/2/14号

2022/2/21

いまどきの小学4年生の授業をご存じだろうか。

大阪府の枚方市立東香里小学校の「未来をつくろうプロジェクト」はSDGs(持続可能な開発目標)を学び、
社会課題を解決する授業だが、小学4年生がここまでやるのか、という内容だ。

まず、どうすれば社会課題を解決できるのかビジネスの構想を練り上げる。

その際、新しいアイデアを生み出すための「イメージマップ」や「マインドマップ」、
考えをまとめる「クラゲ・チャート」「ピラミッド・チャート」など様々なシンキングツールを活用する。

次にビジネス構想を皆の前でプレゼンするが、授業はそれだけでは終わらない。

学んできたプログラミングを使って、課題を解決するロボットを作成するのだ。
「レゴWeDo2.0」というツールを活用しブロックを使って本当に動くロボットを作る。

つまり、この小学生たちは10歳になるかならないかで、社会課題のソリューションを考案し
自動的にロボットが解決する仕組み作りを学習しているのである。

こうした授業は東香里小学校に限らず、今後全国に広がる。
学習指導要領が大改正され、2020年度から小学校で探究学習の授業が始まったからだ。

探究学習とは自ら問いを立てて、解決策を見つけ出す学習方法だ。
中学や高校でも探究の授業が行われる。

探究学習の可能性は非常に大きい。

小学生の頃から社会課題を解決するためのプロジェクトを構想して実行するのは、
物心がついた時から第4次産業革命で活躍するためのトレーニングを積んでいるようなものだ。

彼らが20歳になる時にはイーロン・マスクやスティーブ・ジョブズのように
イノベーティブな人材として羽ばたいているだろう。
幼なじみの友人たちと社会課題を解決するビジネスを創出し実現に向けて夢中になっているに違いない。

こうした子どもたちがたくさん出てくれば、世の中は明らかに変わるだろう。

ただ、探究学習にはボトルネックがある。

それは学校だけでは進められないことだ。
探究学習のプログラムの用意に学校現場からは悲鳴が聞こえてくる。

重要なのが、「教育」から「協育」へのシフトだ。

一言で「協育」を定義するならば、「パートナーシップによる継続学習」と言えるだろう。

これまでは学校だけが孤軍奮闘しながら子供たちを教え育てようとしてきたが、これからは未来を良くしようと思う
すべてのステークホルダーが学校と協力しながら、子供たちが自ら育っていけるように環境を整えるのだ。

とりわけ協力すべきなのが企業である。
SDGsの認知度が高まってきた今、経済界もSDGsに向かっている。今こそ協育に乗り出す絶好のタイミングだ。

企業が協力するためには、大人がまったく新しい教育が始まっていることを理解することが重要だ。
教育というと大人は受験教育を思い浮かべるが、もはやそんな時代は過ぎ去ろうとしている。

子供たちの探究学習に関心をもつことで、大人もまた今後の未来を探究する糸口が見つかるかもしれない。

 

 

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