AI活用 どう勝ち残る ― 日経MJ連載「未来にモテるマーケティング」23/5/8号

2023/5/15

人工知能(AI)が本格化する時代のマーケティングを考えると、
法人も個人も勝ち残るためには分野No.1になることが求められるようになる。

なぜならChatGPTの活用により、誰でもコンテンツマーケティングが容易に行えるようになるからだ。

これまでコンテンツマーケティングで良質な顧客を集めるには、
正確な情報収集に基づいて体系的に整理された良質なコンテンツが必要だった。

コンテンツを制作するにはその分野に精通していることが必要であり、時間も費用もかかった。

GPTを使えば書き慣れていない人たちでもある程度のものが作れる。
実績のある会社もにわか仕込みの会社も、表面的には同じような情報を発信できる。

テキストでは差別化ができないので、顧客の判断基準が「何を言うか=どんな情報を言うか」ではなく
「誰が言うか?」に大きくシフトしてしまうのである。

自分が選んだ分野でNo.1になり、周囲からも認められる状況をつくることに、
マーケッターは全力投球しなければならない。

それを痛感したのがAI文章制作支援ツール「Catchy」を展開するスタートアップ企業・デジタルレシピの
伊藤しんのすけ社長と話したときだ。

初対面から10分後には「神田さん、AIが書いた本を出しませんか」といわれた。
AIを使って本を制作すると、読者が質問した時に私のアバターに回答させることができるという。

私はマーケティングやビジネスに関する著作を約100冊書いてきた。
全てデータにしてAIと組み合わせれば、マーケティングに関するありとあらゆることをAIが答えてくれる。

しかも、経営者層から小学生に至るまで、対象に合わせて、私の文章のトーンやスタイルで答えられるという。

海外ではそうしたサービスが出始めている。
たとえば「AskNow」は、お気に入りの回答者に任意の質問ができ、パーソナライズされた回答を得られる。

イーロン・マスクやAIの先駆者であるアンドリュー・エンがいて、
ユーザーが知りたいことや疑問に思っていることを質問すると、最適な回答が自動生成される。

「AskThee?」も類似サービスで、
アインシュタインやベートーベン、ソクラテスといった歴史上の偉人をモチーフにした回答者が含まれる。

偉人の生涯や業績を伝える、教育的な役割も果たせる。
もはや特定の分野で知られるようになると“死なない”時代が訪れているのである。

これまで何かを調べる時は検索エンジンに入力し、情報を自分で選び取ることが必要だった。
今後は分野で一番詳しい回答者にアクセスすれば、AIでキュレーションされた情報を受け取れるようになるだろう。

分野No.1の回答者の元にはどんどんデータが集まるので、ますます精度が高まり進化することになる。

自社がNo.1だと周囲から認められるには他者との競争に勝ち抜くか、
自身で新しい分野を生み出すか、どちらかが必要だ。

AIがスピードをあげているように、私たちも決断を急がなければならない。

 
 

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